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“人生初”体験インタビュー|人生初・小料理屋の女将さん

記憶のなかの笑顔を求めて
念願の小料理屋に立つ

武蔵澄子さん(83歳)

武蔵澄子さんが“人生初”の体験として希望したのは「小料理屋の女将」です。
会社勤めを終えた武蔵さんは、その後、銀座の大きなフランス料理店で案内係とレジ係を経験しましたが、接客の機会は多くはありませんでした。
そこで、もっと近い距離でお客様に接したいという思いから、この体験を希望しました。それに加え、もう一つの大きな動機は、いまも思い出として心に残っている、ある人たちの笑顔です。
料理が好きとは言えお店を仕切った経験のない武蔵さんは、小料理屋の女将さんとしていかに体験に向き合い、どんなふうに感じたのか、お話を伺いました。

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趣味など日常生活で楽しんでいること

いまは特に趣味はないのですが、以前は自分で水彩で絵を描いて、グリーティングカードをつくっていました。カードの片面に絵を描いて、もう片面にはメッセージを入れて封筒に入れて送るのです。いまは、本を読んで休日を過ごすことが多いですね。大好きな児童作家がいて、その方の作品を繰り返し読んでいます。

特技ではありませんが、子供の面倒を見るのは昔から好きです。よく近所の小さなお子さんを預かって世話をしていました。いまでは私の孫も成長したし、ご近所にも大きなお子さんしかいなくなってその機会も少なくなりましたが。

それと、健康のためにやっていることは歩くことです。本当に暑い日以外は、毎日ウオーキングに出かけます。冬の寒い日も欠かしません。

“人生初”はなぜ小料理屋の女将さん?

10年前に会社を辞めた後、銀座のフレンチのお店に勤めたのですが、仕事はお客様をテーブルに案内することとレジを打つことでした。若いみなさんが腕に料理のお皿を何枚ものせて運んでいましたが、私はそういうことはやっていません。オーダーも彼らがとるので、あまりお客様とは接点がありませんでした。だから、もっとお客様と近い距離で働いてみたいと思ったのです。

もう一つきっかけになったことがありますが、それは、もう何十年も昔の話です。私には息子が2人いて、そのころ2人ともボーイスカウトに入っていました。ボーイスカウトのリーダーとして大学生の子たちが5、6人参加していて、彼らに私の息子たちはすごく懐いていました。それに、大学生の子たちも楽しんで息子たちの面倒を見てくれていたのです。
そのお礼になにかしよう思って、年末にその大学生たちを我が家に招いてお鍋を振る舞うことにしました。なかには1人暮らしの子もいたと思いますが、みんな本当に料理がおいしいと褒めてくれて、その夜はすごく楽しく過ごしたのです。そのときの彼らの笑顔がいまも印象に残っています。

その後、彼らも社会に出て行ったみたいなんですが、もし、彼らが気軽に寄れるようなお店を開けたら素敵だなとずっと思っていました。彼らが社会でどんなふうに変わっていくのかを見ることもできるし。小さいお店だったら若い彼らも顔を見せやすいのではないかと考えることもありました。
小料理屋の女将をやってみたいという想いの原点は、大学生の彼らとの思い出ですね。

実際に女将さんとしてお店に立ってみて

体験する前は、「人生初」のことなので、どんなことができるのかと緊張もしていたのですが、まずは楽しむことが大切だと思っていました。不安な点は特にありませんでした。自分なりにがんばってみるほかにやりようはないと思っていましたし。

そんな気持ちでお店に行ったのですが、予想していたよりも立派なお店でびっくりしました。それにお店の本物の女将さんとご主人がとても親切にいろんなことを教えてくれて、それは大変ありがたかったです。
お客さんともたくさんお話しができて、とても楽しい体験になりました。

振り返ると、女将さんは想像していた以上にお店のなかのいろいろなことに気を配らなければいけないということが、強く印象に残っています。お客様を満足させることは、本当に大変なことです。

“人生初”を体験後に訪れた心の「変化」とは

人を見る目が変わったかもしれません。私はどちらかと言うと人の好き嫌いがある方だったのですが、今回の体験を終えてそういうことがなくなったように思います。いろんな方とお話しして、人を見る目の幅が広がったのでしょうか。

“人生初”という経験をさせていただいてすごく嬉しかったし、本当にありがたいと思っています。私自身、心から楽しんで体験できました。いまは、その満足感で胸がいっぱいで、次にやりたい“人生初”は考えられていないのですが、たぶん、そのうち浮かんでくるでしょう。そのときも今回同様、思いきって一歩を踏み出したいと思います。そうすれば楽しい経験がそこに待っていることを、今回の体験で実感しました。

 

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