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CHAPTER 4新提案!ダブルたんぱくのチカラ

最新の研究結果が示唆する「ダブルたんぱく」のチカラ

吸収性試験~筋肉合成に作用するBCAA濃度が持続

たんぱく質の吸収性を持続させ、体内でのアミノ酸濃度を一定に保つことが筋肉合成を高めることにつながります。そこで、ダブルたんぱく※1、あるいは動物性たんぱく質のみの摂取で、たんぱく質の吸収性を比較する動物試験を行いました。
必須アミノ酸の中でも、特に筋肉合成に作用するBCAAの血中濃度をみると、ダブルたんぱくの摂取では、血中濃度のピークからの下降が緩やかで、吸収に持続性が認められます。一方で、動物性たんぱく質のみの摂取では、血中濃度のピークは高いものの、その後は急降下しており、吸収の持続性がダブルたんぱくより低いことがわかりました。

植物性たんぱく質(大豆たんぱく)と動物性たんぱく質(乳たんぱく)を1:1の比率で配合したもの

吸収性試験の結果:血中BCAA濃度
吸収性試験の結果:血中BCAA濃度

「吸収性試験(2019)」キューサイ

筋萎縮抑制効果試験~筋肉減少を抑制する傾向を確認

たんぱく質摂取による筋肉減少の抑制効果を確認するために、ダブルたんぱく、あるいは動物性たんぱく質のみを与えたグループの筋湿重量※2の変化を比べる動物試験を実施しました。
摂取開始から17日後に筋肉量を測定して比較したところ、ダブルたんぱくを摂取したグループの方が、腓腹筋(ひふくきん)、ヒラメ筋※3ともに重量が重く、筋肉の減少を抑制する傾向が認められました。この結果から、人間の場合もダブルたんぱく摂取の方が、動物性たんぱく質のみのときよりも、老化による筋肉減少を抑制する効果があることが期待されます。

水分を含む筋肉量

ふくらはぎの筋肉

効果試験の結果:筋湿重量の測定
吸収性試験の結果:血中BCAA濃度

「効果試験(筋肉の萎縮抑制)(2019) 」キューサイ

研究開発担当のコメント

植物性と動物性のたんぱく質を同時に摂る「ダブルたんぱく」のヒントになったのは、コラーゲン商品開発時の「吸収速度が異なる2種類のコラーゲンを合わせると、1種類の時より効果が保たれる」という研究です。たんぱく質もコラーゲン同様、種類によって吸収パターンが異なりますが、違う種類のたんぱく質を合わせた場合の研究は見当たりませんでした。そのため、混合させた場合に互いのメリットを打ち消してしてしまうのではないかという懸念もありました。しかし、新たな研究によって、植物性(ソイ)と動物性(ホエイ・カゼイン)のたんぱく質を組み合わせることで、吸収効率が変わることが確認できました。

「ダブルたんぱく」なら、効率良い筋力アップが期待できる

筋肉をつくる時間が持続する「ダブルたんぱく」

これまで、筋肉増強を目指してプロテインを飲む人の多くが、動物性たんぱく質のホエイを摂取する傾向にありました。ホエイには筋肉合成のスイッチを押すような働きをする必須アミノ酸・ロイシンの含有率が高く、体内への吸収が早いためです。しかし近年、植物性と動物性のたんぱく質をブレンドすることで、ホエイ以上に筋肉づくりに効果的と考えられています。
運動後に『動物性と植物性をブレンドしたたんぱく質』を摂取した場合と、運動後に『動物性たんぱく質(ホエイのみ)』を摂取した場合で、筋肉のたんぱく質合成率を比較したヒト試験では、動物性と植物性をブレンドしたたんぱくの方が筋たんぱく質合成率が高い状態で保たれることがわかりました。吸収速度の異なるたんぱく質をダブルで摂取することによって、吸収性が持続し、筋肉合成に働くアミノ酸の血中濃度が長時間にわたって一定に保たれるためと考えられます。

動物性+植物性たんぱく質の筋たんぱく質の合成率
ダブルたんぱく 筋たんぱく質の合成率

Paul T.Reidy et al. The Journal of Nutrition, 1-7, 2013

たんぱく質の摂取量は「1日分」よりも「1食分」を意識せよ!

2019年に発表された研究で、筋肉量には「1食あたりのたんぱく質摂取量」が関係していることが明らかにされました。 1日に十分なたんぱく質量を摂取し、日常的な運動習慣のない20代を中心とした学生のうち、朝・昼・夕の3食とも十分なたんぱく質量を摂取しているグループは、1食でも摂取量が不十分なグループに比べて、除脂肪率(体重のうち、脂肪以外の重量の割合)が高いことが確認されました。筋肉づくりのために、トレーニング後にプロテインを摂取するというのはよく聞く話ですが、日々の食生活でも 1 食ごとに十分な量のたんぱく質を摂取することが大切であることがわかりました。 ゆるみ筋のような「たんぱく質不足のサイン」が見られる人は、ぜひ食生活を見直してみましょう。日本人は特に朝食にたんぱく質の摂取量が少ない傾向が見られます。

※1食に、体重1kgにつき0.24g以上

たんぱく質の摂取状況の違いによる除脂肪率の比較
調整済の筋肉量の比較

Jun Yasuda et al. Nutrients, 11, 612-22, 2019

研究結果:ダブルたんぱく1:1の比率で、運動不足でも筋力低下を抑制

比率1:1が効率的に筋肉の萎縮(減少)抑制を確認

大豆とホエイの比率を変えて配合したダブルたんぱくと、植物性たんぱく質単体、そして動物性たんぱく質単体をラットに与えて筋肉量を比較した結果、大豆とホエイを1:1の比率で配合したダブルたんぱくが、筋肉量の減少を最も抑えることが確認されました。大豆たんぱくには、筋たんぱく質を分解させる酵素「Cbl-b(ユビキチンリガーゼ)」を阻害する作用があることが、新たに発見されています。また、筋肉減少の要因である酸化ストレス(活性酸素)を減らす働きのあるポリフェノールが豊富です。一方、乳たんぱくのホエイは、筋肉合成を活性化するアミノ酸・ロイシンを多く含んでおり、筋肉を増やす作用があります。大豆とホエイたんぱく質をダブルで摂取することで、両者の働きが相まって、筋肉の減少が抑制されると考えられます。

筋萎縮率
筋萎縮率

二川健ら.(2017).大豆たん白研究.

ダブルたんぱくによる筋肉減少メカニズム
ダブルたんぱくによる筋肉減少メカニズム