年齢とともに便秘や下痢といった不調を抱えていませんか?残念ながら加齢によって腸内環境は徐々に悪化し善玉菌は減少していきます。健やかな腸内環境と日常生活を維持するために、今なにをすべきなのか、チェックしてみましょう。

ポイントは「筋力」と「腸内フローラのバランス」

腸内環境は「腸内フローラ」によって構成されています。「腸内フローラ」とは、私たちの腸に棲んでいる菌全体のことで、その数はなんと100兆個以上! 
生まれた時の腸内環境は善玉菌が多く、腸内もよい環境ですが、年齢を重ねていくと、悪玉菌が増え、腸内環境の改善が必要になっていきます。
腸内環境の状態を把握する手がかりとなるのは便通です。一般的に年齢を重ねると、便秘になりやすくなり、便の臭いもキツくなります。

その原因はいくつもありますが、一つに筋力の低下があげられます。腹筋の筋力は20代をピークに低下し、50代では20代の74%にまで低下してしまうという調査結果が出ています。つまり加齢によって腹筋の筋力が低下すると、いきむ力も弱くなり、便を押し出すことができなくなるというわけです。

また、原因に腸内フローラの低下も原因の一つ。腸内フローラは善玉菌と悪玉菌のバランスによるものとされており、健康的な食事をとっている20代の善玉菌(ビフィズス菌など)は菌全体の20%。対する悪玉菌(ウォルシュ菌や大腸菌など)は10%だと言われています。しかし、50代を超えると善玉菌が減って悪玉菌が増え、腸内環境が悪くなっていき、便も出にくくなり、同時に臭いもキツくなっていくのです。

年齢とともに移り変わる腸内菌数(模式図)

<年代別の筋力の変化と腸内環境の傾向>

●20代
食事バランスの乱れにより、便秘になることがあります。

⚫︎30代
ストレスが原因で下痢になることがあります。また、食事バランスの乱れにより、便秘になることがあります。

⚫︎40代
健康状態の変化に伴って、腸内環境に変化が生じる人がいます。

⚫︎50代
ホルモンバランスの変化や筋力の低下により、便秘になる人がいます。

⚫︎60代
食事量の減少や腸のぜん動運動の低下から、腸内フローラの変化や排便量の減少が生じます。

⚫︎70代
ビフィズス菌などの善玉菌の減少、悪玉菌の増加による腸内環境の悪化や、消化機能の低下から便秘になりやすいです。

健やかな毎日につながる腸内環境の改善

健全な腸内環境を維持するためには、腸にとってプラスとなる健康習慣を身に付けることが大事です。カラダとココロの両面から、具体的な対策を見てみましょう。

カラダ:運動とバランスの取れた食生活がカギ

これまで見てきたように、腹筋の筋力の低下は便秘につながります。便秘改善のために腹直筋を鍛えるエクササイズ「へそのぞき腹筋」を習慣化しましょう。

へそのぞき腹筋

①あおむけに寝て、足の幅を少し開けて両膝を立てる。頭の後ろで両手を組む。
②おへそを見るようにゆっくりと頭を起こし、お腹に力を入れる。この状態を10秒キープする。
③ゆっくりと頭を伸ばす。②と③を5~10回繰り返す。

へそのぞき腹筋のやり方
20代を100%としたときの腹筋筋力の加齢変化折れ線グラフ

また、腸内環境を整え便通をよくするためには、善玉菌を増やし、便の量を増やすことが大切です。 そのために、以下のポイントを意識して食事を摂るようにしましょう。

発酵食品を摂る

味噌や納豆、漬物など日本独自の発酵食品に含まれるプロバイオティクス(善玉菌そのもの)を摂ることで、腸内環境を整えます。プロバイオティクスが含まれる食べ物は頼もしい味方です。

味噌、納豆、漬物のイラスト

オリゴ糖を摂る

大豆・玉ねぎ・ごぼう・はちみつ・にんにくなどに多く含まれるプレバイオティクス(オリゴ糖や食物繊維など)は、善玉菌のエサとなり、善玉菌の活性化につながり、腸内環境改善に役立ちます。

大豆、玉ねぎ、ごぼう、はちみつ、にんにくのイラスト

食物繊維を摂る

便の量を増やすには不溶性・水溶性いずれの食物繊維も大切です。キノコ類やレタス、ワカメ、玄米などに多く含まれています。

きのこ、レタス、わかめ、玄米のイラスト

こまめに水分を摂る

便を柔らかくするためにも、水分は摂るようにしましょう。一気にではなく、少しずつこまめに飲むことがポイントです。

水が入ったクリアガラスのベッドサイドウォーターカラフェとガラスのコップ

腸を活発にするには、一日に3度決まった時間に食事をとることも大切。一方で、過度な量の飲食は腸内フローラのバランスを崩すので、食事量は腹八分目を心がけましょう。ダイエットなど極端な食事制限は腸内環境の乱れにつながりかねません。日々、バランスのとれた食生活を意識したいですね。

ココロ:ストレス解消と良質な睡眠で生活の質をアップ

腸内環境は、カラダだけではなく、ココロとも密接に関連し合っていると考えられています。腸と脳がお互いに影響を及ぼし合うことを示す「腸脳相関」という言葉も、最近よく耳にしますね。要するに、ココロの状態を整えることは、腸内環境の改善に直結するということです。
ストレスを溜めることは、腸内環境にもマイナスです。不安や緊張でストレスがかかると自律神経のうち副交感神経がうまく働かなくなります。副交感神経は、腸のぜん動運動を活発にし、排便を促す働きをしているので、結果的に便秘を引き起こす原因にもなります。健やかなココロと腸を保つためには、上手にストレス発散することが必要なんですね。
近年の研究によると、腸内環境の良し悪しと睡眠の質も互いに影響し合っているそうです。睡眠が短い人の方が、腸内環境が悪化する傾向にあることがわかっています。自分に合った枕や寝具を用意し睡眠の質を高めることで、腸の状態を安定させることが可能となります。

腸内環境はウェルエイジングな日々を過ごすためにはとっても大事なポイント!

カラダもココロも前向きに過ごす、ウェルエイジングな生き方と整った腸内環境は切っても切り離せないものです。
食事・運動・睡眠の3つを意識していつまでも元気な腸でいましょう!

睡眠をとっている女性のイラスト