ウェルエイジングコラム

口臭の正しい確かめ方と原因は?40代から強くなりがちな口臭の改善方法
エイジング世代のカラダには、さまざまな不具合が出てきますが、なかでも多くの人が気にしているのが口臭です。年を重ねると歯周病のリスクも高まるので、今まで以上にオーラルケアに手間をかけたいところ。若い頃に比べてなぜ口臭が強くなるのか、またその対策について、歯科医・歯学博士の照山裕子先生にお伺いしました。
自身の口臭の原因を知る
若い頃に比べて、口臭が気になりだす方も多いのではないでしょうか。実は、エイジング世代の口臭には下記のような要因があります。
①口の中の汚れ
歯を磨いても、磨き残しによる歯垢、舌の汚れも臭いを発してしまいます。
②口の乾燥
口の中の乾燥が原因の場合もあります。
③歯周病
細菌の感染によって引き起こされます。
④その他
飲んでいる薬の影響や消化器系の不調、ホルモンバランスの崩れや自律神経の乱れなどの場合もあります。

若い頃は単純に口の中の汚れによって口臭が発することが多いのですが、エイジング世代には上記のような老化によるさまざまな要因の進行によって “口臭”が発生しやすい状態となるのです。自身の口臭は何が要因なのかを知ることが、対策の第一歩となります。
エイジング世代は唾液の分泌が少ない!?
とくに、年齢を重ねると、唾液腺が委縮することで唾液がつくられにくくなります。唾液の分泌が少ないと、口腔内の細菌が増えやすい状態になるので、口臭につながるといわれています。普段の生活でできることとしておすすめしたいのは、きちんと口を動かして、よく噛んで食べることです。奥歯できちんと噛んで口の中に刺激を与えると唾液が分泌され、消化がよくなるだけでなく、美味しい食事を丁寧に味わえるメリットを感じることもできます。
口臭レス&健康な歯のために定期的な歯科検診を

自身の口臭の要因を知るため、また口の中の状態を知るためにも、こまめな検診をルーティンにしましょう。口臭レスと歯の健康寿命のためにも、歯科医院で3カ月に一度の検診とケアを心がけてください。検診で歯周病が見つかれば対策ができ、口臭の要因を把握することで自身のケアもしやすくなります。また、歯科医院にしかできない歯石の除去なども口臭レスに繋がり、歯周病でなくても、年齢を重ねると歯肉が痩せてきて磨き残しの原因にもなります。歯科医院で今までよりも丁寧なブラッシング方法を教えてもらいましょう。
丁寧で正しいお手入れで口臭を緩和

検診で口の中の状態を知ることで、ケア方法がわかります。検診では正しい歯磨きの仕方も教えてくれるので、口臭の原因となる歯垢をきちんと取り除くことができる歯磨きを心がけましょう。
歯垢は別名「プラーク」ともいい、簡単に言うと細菌のかたまりです。歯の表面に付着する白い汚れで、歯磨きやフロスで落とすことができます。歯垢をそのままにしておくと石灰化し歯石になり、歯磨きでは取れません。歯石を放っておくと虫歯や歯周病のリスク、それが口臭に繋がります。
歯磨きの基本として、意外と順番を間違えている人が多いのが、デンタルフロスや歯間ブラシの使い方です。歯磨きの後ではなく、初めに使って隙間の汚れを取り除いてから、歯ブラシで全体を磨くようにしましょう。
また舌の汚れも口臭の要因となるので、汚れが気になったら専用のブラシで汚れを取り除くことが大切です。
今すぐ口臭を緩和したい方におすすめのマッサージ
緊張する場面、空腹時や長時間飲食していないときなど、口の中が乾いていることで口臭を感じやすくなるので、水分補給を意識してみてください。お水を飲めるのなら、少し含みゆすぐようにして飲むだけで緩和します。また唾液を分泌させることも大事なので、耳の前から顎にかけての唾液腺をやさしくマッサージしてみてください。耳下腺・顎下腺・舌下腺を刺激すると、唾液が分泌されやすくなるので、やさしい刺激を与えるイメージで触れることがポイントです。

口臭は自身でも気になりますが、周囲にマイナスな影響を与えてしまう場合もあります。きちんとケアをすれば悩みも緩和できるので、こまめな検診と毎日の正しい丁寧なオーラルケアで、健やかな息を目指しましょう。
text: Yuki Abe
【監修】

歯科医・歯学博士・アニコム健康寿命延伸財団代表理事・東京科学大学病院非常勤講師・日本アンチエイジング歯科学会理事・野菜ソムリエ協会認定・野菜ソムリエ
照山 裕子(てるやま ゆうこ)
幼少期に通っていた歯科医院の楽しい思い出から「痛くない治療ができる先生になりたい」と歯科医師を志す。歯学部 卒業後は博士課程に進み、口腔と全身のさまざまな相関について学んだ臨床経験から、病気の早期発見につながるオーラルケアの重要性を啓発している。
最新の医学データに基づいたわかりやすい解説が反響を呼び、テレビ・ラジオ出演他、市民向け公開講演や企業の商品 タイアップ案件に多数出演。2017年に出版した『歯科医が考案・毒だしうがい』が13万部を超えるベストセラーとなる。歯科業界では【日本一メディアに登場する歯科医師】【口腔ケアの伝道師】と称され、数々の専門誌で特集記事が組まれる。