ウェルエイジングコラム
冬の冷気が乾燥を加速!目元の小ジワを防ぐ“なるべく触れない”スキンケア
いよいよ冬も本番。冷たい北風が吹きつけたり、暖房の風にさらされたりと、肌を取り巻く環境も厳しい季節です。特に40代以降、粉っぽくなってメイクが浮く、涙で目の端が切れる、まぶたの小ジワが気になるなど、目元の肌の乾燥に悩む方は多いのではないでしょうか。目元はカラダの中でももっとも皮膚が薄い部位のひとつ。ここでは肌の構造や年齢による変化を知り、ハリのある目元をキープするための習慣をご紹介します。
冬は肌にとって過酷な季節
夏の紫外線ケアはしっかり行っている人が多いかと思いますが、実は冬の気候も肌にとって過酷な季節。肌が白い粉を吹いたり、ヒリヒリと赤くなったり、目元に細かいシワが増えたなどという悩みが発生しやすい季節です。それらの大きな原因は乾燥で、気温が下がると肌を守る皮脂の分泌量が抑えられ、バリア機能が低下します。そこに北風や暖房の風が直に当たることで肌の乾燥が加速してしまいます。
また、冷えによる血行不良は肌のターンオーバーを乱し回復を遅らせます。カサカサに乾燥した肌は見た目年齢が上がって見えるほか、乾燥した状態が続くとシワになってしまうなど、さまざまなエイジングサインへとつながるため、冬は保湿に重点を置いたスキンケアをすることが重要です。

皮膚の下に○○がない!特に目元の乾燥ケアが大切な理由
顔の中でも特に目元は皮膚が薄く、乾燥の影響を受けやすい部位です。皮膚は表皮と真皮の二層に分かれ、表皮は外部刺激を防ぐ機能をもつ一番表面の薄い層、真皮は皮膚の弾力や水分保持などを担う厚い層となっています。部位によって皮膚の厚みは違いますが、カラダと比べて顔の皮膚は薄く、顔と比べてもさらに薄いのが目元の皮膚です。
また、通常は皮膚の下には皮下脂肪があり外部刺激からのクッションとなりますが、目元の皮膚には皮下脂肪がほとんどなくすぐに表情筋へとつながっています。

このため、乾燥による肌荒れで目元を触る機会が増えると、ちょっとした摩擦や刺激で皮膚がたるんでしまったり、シワが刻まれやすくなったりします。冬の乾燥対策の中でも、特に目元に意識を向ける必要があります。
年齢とともに肌は乾燥しやすくなる
肌の乾燥の原因については、環境のほかに加齢によるものもあります。特に女性の場合、40代半ばごろから女性ホルモンであるエストロゲンが徐々に減少し、閉経を境に大きく減少します。エストロゲンは肌のハリを保つコラーゲンの造成やカラダの水分量を保つ働きも持つため、肌のバリア機能も弱くなっていきます。
また、肌の水分量については、加齢により皮脂の分泌量が低下するほか、体内のタンパク質の合成と分解のバランスが変化することも影響しています。成長期の頃はカラダを大きくするためにタンパク質が盛んに合成され、そのときに水分も同時につくられます。しかし、40代以降はタンパク質を分解するはたらきが優位となるため、乾燥が促進されるようになります。顔の全体の水分が減ることは、年齢とともに気になる目元の小ジワはもちろん、顔のさまざまな部分でエイジングを加速させることに繋がります。

目元のケアは“攻めと守り”の両方に意識を
目元の皮膚はカラダの中でもとりわけ繊細です。そのため、大前提として“なるべく触れない”ことが基本となります。この上で、目元の肌の健康を保つための生活習慣について、スキンケアと食の面から見ていきましょう。

アイケアはこすらず触らずが基本!
目元の皮膚のスキンケアは、いかに刺激を与えずに行えるかが大切です。たとえば、落ちにくいアイラインやマスカラなどを使っているとクレンジングでごしごし目元をこすってしまうことになります。お湯などでサッと落とせるタイプに変更したり、こすらず落とせるクレンジングなどがおすすめです。
目のまわりの保湿ケアとしては、アイクリームとして販売されているもので肌質に合うものを使用することやテクスチャーも重要です。こってりとしたタイプは、保湿力は高いかもしれませんが伸びが悪く目元をこすってしまうことにつながるため、自分に合ったタイプを選びましょう。ポンポンと軽く肌に置く程度の力加減で塗れるものだと摩擦が少なくケアできます。顔のマッサージも目のまわりは避けるのが無難です。
また、血行をよくすることは肌の健康にもつながるため、目を温めるアイマスクを使用したり、逆立ちやヨガなど頭を下にする運動を一日の終わりに取り入れるのも効果的です。
肌のために積極的に摂るべき栄養素
食事をしっかり摂れている人のほうが肌も乾燥しづらい傾向にあります。肌のために積極的に摂りたいのが、ビタミンAやC、亜鉛、そしてタンパク質です。ビタミンAは肌のターンオーバーの促進、ビタミンCは抗酸化作用がありコラーゲンの生成も助けてくれます。亜鉛は乾燥で肌が切れてしまったときの処方としても使用される成分です。そしてタンパク質はコラーゲンをはじめ、カラダをつくる基盤となる栄養素なので、肉・魚・大豆など良質なタンパク質をバランスよく摂取しましょう。

まとめ
目元は顔の印象を左右する重要なパーツです。いつまでもハツラツとした印象の顔をキープするためにも、薄い皮膚に細心の注意を払いながらも、“なるべく触れない”優しいケアを心がけてみてください。
text: Mai Miyajima
【監修】

形成外科医
松宮詩依(まつみや・しえ)
形成外科医。東京皮膚科・形成外科品川院院長を務めたのち、ユートピアートクリニック恵比寿を開院。美容外科・美容皮膚科・形成外科を軸に、運動療法、栄養を中心とした機能性医学、そしてメンタルケアまでを包括的に扱う“本質的なウェルネス”のためのクリニックとして多くの女性から信頼を得ている。























