エイジング世代のカラダの悩みとして上位に上げられるのが腰痛で、年を重ねるごとに腰痛を自覚する人も多いようです。加齢による体内の変化が要因のことも多く、生活習慣の見直しで緩和するケースもあります。今回は、手技療法歴25年以上、延べ10万人以上の臨床経験を重ねた整体師の小原太郎先生に、エイジング世代の腰痛の要因や自身でできる緩和方法などを伺いました。

若い頃よりも腰痛が顕著に現れる要因

大きな要因としては、年齢を重ねると体内の水分保有量が低下してしまうことが挙げられます。加齢とともに脊柱椎間板の水分量が低下し、椎間板の水分量が減るとクッション性が低下して弾力性を失うため、腰痛が起きやすくなるのです。

また、腰痛を長引かせてしまう要因のひとつが「座っている時の悪い姿勢」です。人間は立ち姿勢よりも座り姿勢のほうが、1.4倍も腰に負担がかかっています。さらに、座って前かがみになると負担が1.8倍にも増加します。特に日常生活で座り姿勢が多い方は、正しい姿勢を意識しましょう。

姿勢の変化による腰椎椎間板内圧の変化のグラフ

加齢による腰痛を放置しておくと起こり得るリスク

腰痛とひとことで言っても、年代によって原因に違いがあります。40代の働き盛りはヘルニアが原因の「坐骨神経痛」が急増する世代です。また50代は「椎間板の老化」や「脊椎狭窄」が増える時期。60代は加齢による背骨の変性が進みやすくなり神経圧迫のリスクが高まります。このように、年を重ねるごとに腰痛のリスクが高まるのです。

腰を抑える女性の写真

腰痛を放っておくと、さまざまなシーンで腰がラクな姿勢を取ろうとします。例えば、腰が曲がっている高齢者の場合、腰の痛みを逃すために曲がっている姿勢がラクになってしまいます。その姿勢を体の感覚から脳が記憶するので、自然と続けるようになります。しかし、それは正しい姿勢ではないためさらに腰痛が進み、痛みを助長してしまいます。美しい姿勢を保つためには、初期の腰痛対策は必須です。ウォーキングなどの適度な運動やストレッチなどを取り入れて、正しい姿勢をキープしましょう。

腰痛を防ぐ正しい座り方とその重要性

座り姿勢は「骨盤の角度」の腰のコンデションを決定する役割を果たします。骨盤を構成する坐骨の骨が正しく椅子の座面に接触していないと、姿勢を正常に保つことはできません。つまり、腰痛の方の多くは坐骨よりも後ろが座面に接触して骨盤は後傾しているため腰に負担をかける座り姿勢になっている可能性があります。坐骨を垂直に接触させると骨盤は自然と正常位置を維持できるようになります。

良い姿勢と悪い姿勢を表したイラスト

■正しい姿勢のチェックポイント

《座る場合》
骨で座るイメージをもち、座る前にお尻の骨=坐骨を触り、そのまま触りながら腰を下ろしましょう。坐骨が椅子の座面に接触しているのが正解です。

《立つ場合》
立つ際は腰を反りすぎないのがポイントです。横から見て耳・肩・くるぶしが一直線になるのが美しい姿勢と言われています。お腹の内側をスッと引き上げるイメージで立ちましょう。

腰痛を和らげる運動やストレッチ

現代の日本においては、交通や生活インフラストラクチャーの充実で、運動機会が減少しています。それらによる筋力の低下は腰痛にも繋がっていると考えられています。

■40-50代の場合
40―50代の腰痛は、前述のとおり加齢による影響もありますが、それ以外では運動不足が要因のことが多いです。毎日トータルで60分程度のウォーキングを意識しましょう。また、階段の昇降を積極的に行うこともポイントです。

■60代以降の場合
60代以降では、運動不足に加えて関節の柔軟性の低下も腰痛の要因になります。ウォーキングにプラスして背骨を捻るなどの体幹部の関節運動がおすすめです。

また、あらゆる世代に共通する“自宅でできる腰痛対策のストレッチ”としては、骨盤を安定させる腸腰筋の筋力トレーニングとストレッチ効果のあるフロントランジ、また骨盤と繋がっている腰を支える筋肉をほぐす、横向きの四頭筋ストレッチがおすすめです。

▼フロントランジ

フロントランジをする女性のイラスト

▼横向きの四頭筋のストレッチ

横向きの四頭筋のストレッチを行う女性のイラスト

生活習慣での腰痛対策

長時間のデスクワークや、休日にソファなどで過ごす際も、最低でも1時間に一度はその姿勢を中断して立ち上がる・姿勢を変える・軽くストレッチをするなどを心がけると腰への負担がやわらぎます。食べ物は、筋力をアップするために魚、鶏むね肉、卵などのタンパク質を意識しましょう。また、筋力の回復を助ける豚肉や玄米、バナナなどのビタミンB群を積極的に取ることもおすすめです。

まとめ

加齢による腰痛は、意識しはじめた時がケアの始めどきです。生活習慣の見直しや毎日取り入れる簡単なストレッチなどでも対策ができるため、意識して生活しましょう。

text: Yuki Abe

【監修】

整体師

小原 太郎(おはら・たろう)

整体師、『整体タナゴコロ 』。代表。ナショナル整体学院 卒(2000年)。日本セラピスト協会 ゴールド会員。手技療法歴25年以上。延べ10万人以上の臨床経験を重ねる。スポーツ障害で歩行も難しくなった自身を、整体が改善へ導いてくれたことをきっかけに、手技療法の道へ進む。整骨院に就職後、リラクゼーションサロン、カイロプラクティックなど様々な技術を学び2016年に小田急線梅ヶ丘駅に『整体タナゴコロ』を開業9年経った現在。小原院長の予約は1ヶ月以上待ち。現在も毎月の技術セミナー参加に加え2~3回は施術を受け、学び続ける姿勢を大切にしている。