藤道マナさん(24歳)
藤道マナさんが生まれ育ったのは、美しい海岸線が走る神奈川県・鎌倉市。半年間の留学先に選んだのは、透明な海が広がるフィジーでした。
「生まれてこれまで海は身近な存在だったし、フィジーでもマリンスポーツを体験しようと思えばできたのですが、なぜかトライしないまま24年間生きてきました」
そう言って笑う藤道さんが選んだ“人生初”の体験は「波の上」、つまりサーフィンでした。泳ぐのも得意だし体幹も強いと、初めてのサーフィンにも自信があったようです。果たして初めて立ったサーフボードの上からはどんな景色が見えたのか、聞いてみました。
鎌倉という街で暮らしていると、サーファーが本当に身近にいるんです。自転車の横にサーフボードを付けて走っている姿もよく見かけます。そんな環境で生まれ育ったので、中学生のころから「サーフィンってかっこいいなぁ、やってみたいなぁ」と思うようになりました。
そう思ってはいたのですが、逆に身近過ぎてやらなかったのかもしれません。サーフィン教室もたくさんあるので、そういうところに行けばサーフィンができるようになるのは分かっていたのですが、周りにやりたいという友達もいないし、1人で教室に通うのも気が引けてしまって。かといって、海に出て自己流でサーフィンするのはさすがに怖かったんです。陸の上でランニングするのとはわけが違いますから。そんな感じでずっとチャレンジできませんでした。
でも、そうこうしている間に24歳になってしまったし、そろそろタイミングかなと思い、今回体験することにしたんです。
アウトドアは好きで、友達に連れられて登山に行ったりしますし泳ぐのも好きです。毎年、夏は海水浴にも出かけます。
元々体を動かすことも好きで、最近ヨガを始めました。それに高校のころからダンスを続けているので、体幹の強さには自信があります。だから、サーフィンも結構うまくやれるんじゃないかと思っていました(笑)。
私は楽観的な性格で、新しいことに興味があるし、いろんなことにチャレンジしたいという気持ちが強いのです。だから、初めてのことでも楽しんでできるんだと思います。
「波に乗る」ということがいまひとつピンときませんでした。泳ぐこととは違うと予想してはいたんですが、「波に乗る」というのが不思議な感覚でなかなかイメージできませんでした。
いざ海岸に立って海を目の前にしたときは、とても怖かったです。結構波も高いし、それを見ているとうまくサーフボードで立てる気がしませんでした。正直にお話しすると、これは無理そうだと最初は思いました・・・。
海に入る前に海岸でボードの乗り方を教わって練習したのですが、実際に海に出てみると陸とはまったく違いました。陸で練習しているときはうまくできると思えたことが、まったくできません。
やっている間は、ずっと、ずっと怖かったですね(笑)。「落ちるのが怖い」という気持ちが離れないし、ボードから落ちると足が海底に届かないし、波に流されていくし。そうなるとどんどん体力が削られてしまい、「私は思ったよりも体力がないんだなぁ」と痛感しました。
30分くらい試行錯誤して、ようやく波の上に立てました。波に乗るとふわ〜っとした感覚になるんです!もちろん怖い気持ちはまだあって、ボードから落ちないようにしようなんて考えるのですが、それと同時に波の上に立てたことが本当に嬉しくて。「楽しい!」という気持ちがどんどん押し寄せてきました。
その後は、ボードから海に落ちることが、「怖い」というよりも「悔しい」という感じになりました。海に落ちると、もう一回波に乗りたいという気持ちが湧いてくるんです。そして、「新しいことを体験できて嬉しい」という気持ちがどんどん大きくなっていきました。いま思い出しても本当に楽しい経験でした。
次に“人生初”を体験するとしたらスカイダイビングですね。純粋に空を飛んでみたい。飛ぶ前はサーフィンと比べものにならないくらい怖いと思います。でも、それを乗り越えてやってみると、とても貴重な経験になるし、いままでにない感動が味わえると思うので、ぜひやってみたいです。
サーフィンは、やる前はすごく怖かったのですが、最後は楽しいと思えたし、またやりたいと思えました。新しいことを始めるときは「怖い」と感じても、体験してみると前向きな気持ちに変わるんですね。それが今回「波の上」で分かったので、これから先も怖いという気持ちを乗り越えて、“人生初”に取り組んでいきたいと思います。