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キューサイと福岡大学が研究「青汁原料ケールは糖尿病を改善する」

キューサイ株式会社(社長:藤野 孝、本社:福岡市)は、福岡大学(藤岡 稔大 薬学部教授)と、青汁原料ケールの糖尿病改善作用に関する基礎的検討を行いました。その結果、ケール抽出物が①インスリンの働きを改善し、脂肪細胞への糖の取込み量を増大させること、②糖尿病モデルマウスにおいては、血糖値を降下させる作用があること、を確認しました。
この研究結果は、3月30日「日本薬学会第127年会」(会場:富山市総合体育館、http:/nenkai.pharm.or.jp/127/)で、「ケールの糖尿病におよぼす影響」として発表しました。今後につきましては、ケール抽出物中の関与成分を特定すると共に、ケールを原料とする弊社青汁製品(冷凍、粉末)を用いたⅡ型糖尿病モデルマウスによる実験を行い、糖尿病改善作用の検討を行う予定です。また、当内容と同等な効果が期待できる弊社商品として、血糖値に有用性のある特定保健用食品「トーチミン」を平成18年12月15日(金)より発売しております。

研究の目的

青汁の原料である緑黄色野菜ケールには、糖尿病改善等に有効な脂肪細胞分化誘導やアディポネクチン分泌を促進することを明らかにし、Ⅱ型糖尿病モデルマウスを用いてケールの糖尿病改善作用に関する基礎的検討を行いました。

研究の方法

研究①:前駆脂肪細胞を用いた検討
ケール抽出物を添加した分化誘導培地で前駆脂肪細胞を培養後、通常培地に戻し、前駆脂肪細胞分化誘導作用、脂肪細胞からのアディポネクチン分泌量、脂肪細胞への糖取り込み量を測定しました。

研究②:マウスによる検討
糖尿病モデルマウスに水、飼料を自由に摂取できる環境下で、ケール抽出物を 3 週間経口投与後、血糖値を測定しました。

研究の結果

研究①:前駆脂肪細胞を用いた検討
1)ケール抽出物が前駆脂肪細胞の分化を促進
分化誘導された脂肪細胞内に蓄積された脂肪球を染色したものが下の写真です。脂肪球が多いほど、分化誘導された脂肪細胞数が多いと言えます。培地のみの培養と比べ、ケール抽出物添加培地の方が明らかに脂肪細胞数が多くなっており、抗糖尿病薬と同じインスリン抵抗性改善作用を示すシグリチゾンと同様に前駆脂肪細胞の分化が促進されていることが分かります。

2)ケール抽出物が脂肪細胞へのブドウ糖の取込み量を増大
ケール抽出物は、シグリチゾンと同様に、分化誘導された脂肪細胞からのアディポネクチン(インスリン抵抗性を改善する生理活性物質)分泌量を増大させることが分かりました。また、ケール抽出物は、シグリチゾンと同様に分化誘導された脂肪細胞への糖の取り込み量を増大させることが分かりました。(下図グラフご参照)

研究②:マウスを用いた検討
ケール抽出物がマウスの血糖値を降下させる作用を確認
水、飼料は自由に摂取できる環境下において、Ⅱ型糖尿病モデルマウスを3群に分け、1%Tween20水溶液で30mg、100mg/体重1kgとなるように調製したケール抽出物を3週間投与した後、血糖値を測定しました。投与開始1日目の血糖値と比べ3週間ケール抽出物を投与したマウスの血糖値は下がっていることが確認できました。

研究のまとめ

ケールには抗糖尿病薬と同じ働きを持つシグリチゾンと同様に血糖値を低下させる働きがあることが明らかになりました。また、糖尿病モデルマウスを用いた検討により、糖尿病の改善に効果があることが明らかになりました。したがって、ケールを原料とする青汁を摂取し続けることにより、糖尿病の改善作用が期待できます。

福岡大学 藤岡 稔大 教授のコメント

キューサイ株式会社と福岡大学薬学部機器分析学教室の共同研究により、ケール抽出物を連日摂取することにより、Ⅱ型糖尿病に対して改善効果が期待できることが明らかになりました。今後は抽出物の中の活性本体の特定を行う予定です。また、Ⅱ型糖尿病モデルマウスを用いて、キューサイ株式会社のケールを原料とする青汁製品(冷凍、粉末)について、糖尿病改善作用の検討も行う予定です。

用語解説
○脂肪細胞
脂肪を貯えたり、分解したり脂質代謝が活発に行われている。また、糖代謝も行う。
○前駆脂肪細胞
分化、成熟する前段階の脂肪細胞。分化して脂肪細胞になってから代謝機能を発揮する。
○分化
細胞が成熟して機能を持った状態になること。
○アディポネクチン
脂肪細胞から分泌されるサイトカイン(生理活性物質)。インスリン抵抗性を改善したり、脂肪酸燃焼を促進したりする。
○インスリン
膵臓で合成、分泌されるホルモン。生体内に存在する唯一の血糖降下作用を持つ物質。脂肪組織では、糖の取込みおよび利用促進などの作用を持つ。
○インスリン抵抗性
インスリンが充分分泌されているにも関わらず、うまく作用していないこと。Ⅱ型糖尿病の原因の一つ。
○糖尿病
インスリン作用不足による慢性の高血糖状態を特徴とする病気。原因の違いによって、Ⅰ型とⅡ型に分けられる。
○Ⅱ型糖尿病
複数の遺伝因子に、過食(特に高脂肪食)、運動不足、肥満、ストレス、加齢などの環境因子が加わって発症する。40歳以上に多いが、最近は若年も増加している。
○Ⅱ型糖尿病モデルマウス
本実験では、遺伝的にⅡ型糖尿病を発症するマウスを使用した。
○シグリチゾン
抗糖尿病薬である塩酸チオグリタゾンと同様のチアゾリジンジオン誘導体である。同じ働きをするため、抗糖尿病作用のポジティブコントロールとして用いられる。インスリン抵抗性の改善を介して血糖降下作用を発揮する。

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